耳鳴りと漢方

耳鳴りと漢方

耳鳴りの中でも感音性軟調にともなう耳鳴りは老化現象です。白髪と同様、加齢性変化として出現してきます。
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耳の機能と耳鳴り

人間の耳は、音を効率よく聴く仕組みを持っています。耳介は、3300HZ以上の集音を行い、方向感覚にも関与します。外耳道は、2500から4000HZの共鳴をあつめ、10DBとなります。鼓膜と内耳窓は、面積比が、17:1であるので、25DBとなります。耳小骨はてこ比で、1.3:1で、2.5DBです。そして、蝸牛の周波数特性と外有毛細胞が音を得ます。そのため、鼓膜や耳小骨がなくなると、40から60DBの音が損失されます。周波数というのは、正弦波が一秒間に何回繰り返すかです。これが周波数であり、ヘルツ(HZ)で表します。正常な人は、16から20000HZの音が聞こえるとされています。そして通常の聴力検査では、125HZ〜8000HZの音が用いられるのです。DBはデシベルで、音の強さを意味します。音の強さは、音圧レベル、聴力レベル、感覚レベルで、評価されます。聴力レベルというのは、日本工業規格(JIS1201)により各周波数の正常耳の閾値レベルを規定します。

ウイルス感染による難聴

標準純音聴力検査とは、純音を用い、断続音を用い、上昇法で行います。周波数により、最大音圧は異なります。100DBまでの音を出すことができます。ブースターにより130DBまでは出せますが内耳に障害を与えるので必要最小限の使用とします。インピーダンスオージオメトリーは、他覚的聴力検査の一種です。蝸電図検査や聴性脳幹反応、自記オージオメトリーなどの検査があります。難聴は、伝音難聴、感音難聴、混合難聴、心因性難聴、機能性難聴などに分類されます。ウイルス感染による難聴として、単純ヘルペス1型に感染すると難聴を生じます。帯状疱疹ウイルスの再活性化でも、難聴が37〜66%起こります。また、ムンプス(おたふくかぜ)でも0.1〜4.7%の難聴発生率です。ムンプスは重度の場合は、聾となり、改善しません。このほか、風疹ウイルス感染でも、妊娠中に母親が感染すると起こります。
胎生2〜3か月にり患すると先天性風疹症候群となり、蝸牛の奇形による難聴、盲目、心奇形、精神発達遅滞などを起こします。このうち、難聴は67〜100%で起こります。また、サイトメガロウイルスが胎生期に感染しても、重度の難聴と平衡障害を起こします。

薬剤性難聴

そして、髄膜炎性内耳炎(流行性脳脊髄炎の経過中に両側同時に難聴がおこる)も高度な難聴になり、聾になることが多いです。同じようなことが、腸チフス、インフルエンザ、猩紅熱、麻疹などでも起こることがあります。内耳梅毒はスピロヘータが血行性感染しておこります。先天性梅毒性内耳炎、後天性内耳梅毒などもあります。内耳を障害する薬物にも注意が必要です。薬剤性内耳障害を起こすものとして、ストレプトマイシンやカナマイシン、ミノサイクリン、ゲンタマイシンなどの抗菌薬があります。そのほかフロセミド、エタクリン酸などの利尿薬や、アスピリンやフェンタニールなどの鎮痛薬でも起こります。リドカインやコカインなどの麻酔薬でも薬剤性内耳障害が出ることがあります。イブプロフェンやキモトリプシンなどの抗炎症薬や、イソニアジドやエタンブトールなどの抗結核薬でも起こります。このほか抗がん剤であるシスプラチンやナイトロジェンンマスタード、クロロキンやキニーネといった抗マラリア薬でも薬剤性内耳障害が出ることがあります。こうした障害の結果として、耳鳴りが起こることもあるのです。

感音性軟調にともなう耳鳴りは老化現象

耳鳴りは、加齢性変化としても出現してきます。メニエル症候群では、めまいと耳鳴りの症状が多くみられます。耳鼻咽喉科に受診すると、血流改善を目的とした内服薬を処方されることが多いのですが、完治させるほどのものではありません。メニエル症候群がすっきりと治ってしまったという人に話をきくと、漢方薬が効いた、という人が意外に多いのです。使用されている漢方薬として、苓桂じゅつ甘湯(りょうけいじゅつかんとう)や、半夏白じゅつ天麻湯(はんげびゃくじゅつてんまとう)を飲んでいる人が多いようです。いずれもめまいや耳鳴りに効果的ですが、元来はめまいを治す漢方薬として、伝わっている処方です。これらの処方は、耳のあたりのリンパや血液の循環を改善し、組織のむくみを解消する働きをもっています。こうした働きのことを、利水(りすい)作用と漢方では呼んでいますが、この利水作用のある生薬を中心に構成されているのが、苓桂じゅつ甘湯(りょうけいじゅつかんとう)や、半夏白じゅつ天麻湯(はんげびゃくじゅつてんまとう)なのです。他には五苓散(ごれいさん)や、四苓湯(しれいとう)なども使用されます。むくみを解消する漢方処方が、めまいや耳鳴りに効く理由は、めまいも耳鳴りも、体内の水分の代謝が悪くなることで悪化するからです。

ハチノコは耳鳴りに効く

ハチノコのサプリが効果を発揮するのは、老化防止の滋養強壮作用が主体ですが、これに加えて、こうした体内の水分代謝の調整をしてくれる漢方が耳鳴りに効くことがあります。蜂の子をサプリメントとして飲んでいる人でも、これらの漢方を併用すると、いっそう効果がある人もいるということです。ふだんから、むくみやすい人で、耳鳴りに悩んでいる人は、こうした漢方を試してみることもひとつだと思います。ハチノコも、漢方もいまではドラッグストアで、入手することも簡単にできますし、通販でも、購入できるようになっています。気軽に試してみるとよいでしょう。耳鳴りをはじめとする耳の疾患に昔から活用されてきたのがハチの子です。身近で簡単に手に入るアンチエイジングの薬草であるネズミモチについてご紹介します。ネズミモチという植物は、ありふれた樹木でどこでも見かけます。この実を、漢方では女貞子(ジョテイシ)といいます。漢方では女貞子の効能は甘・苦・涼とされています。その効能としては、肝・腎に帰経するとされ、腎虚を癒す生薬として理解されています。肝と腎を補益する生薬は不老長寿に有益とされていることが多いです。腎虚を補うので髪も黒くなると古典に記載があります。

腎虚になると耳鳴りが起こりやすい

腎虚の中でも虚熱を持つ、腎の陰虚を補うので、更年期の虚熱(のぼせなど)に効果があります。目のかすみ等にもよいとされ、補腎滋陰、養肝明目の生薬であると古典に記載されています。老化による体力の低下などに対する滋養によく、陰虚火旺(ひえのぼせなど)に向きます。腎陰虚にむいている生薬なので、あまり冷え性が強い人には使えません。冷えが強いものは、腎の陽虚の傾向をおびており、腎陽虚の場合は八味丸をおすすめします。ネズミモチの活用方法はその実を収穫して煎じ薬にしたり、ハーブティーにしたりします。なお、サプリメントとしては「ジョテイシマカ」というものがあるだけのようです。女貞子そのものはネット通販で薬草として入手できます。近所を散策すれば、その辺に生えている樹木でもあります。実は野鳥が好んで食べるようなので早めに収穫する必要があります。

 


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